2013/05/11

[感想文]ロバート・スレーター「ウェルチ―リーダーシップ・31の秘訣」



概要 

1981年から20年間にわたってゼネラル・エレクトリック(以下GE)のCEOを務めたジャック・ウェルチの語録。

ウェルチがCEOになったとき、GEは売り上げ高250億ドル、純利益15億ドルの優良企業であった。GEは何の問題も抱えておらず、将来的にも発展を続けると、社内、社外問わず多くの人々は考えていた。
しかしウェルチはそう考えなかった。GEは多くの将来性のない事業を抱えていると判断し、徹底した組織のダウンサイジングとリストラを行った。多くの事業を閉鎖、売却し、多数の従業員を解雇した。そしてスピードこそ最も重要視すべき要素であると考え、それを妨げる社内に蔓延する官僚主義を払拭するため、あらゆる手を尽くした。
その20年の任期中にGEは100億ドル近い純利益を達成し、ウェルチは経営者としての名声を不動のものにした。

感想

建物は残して中の人間だけを殺す中性子爆弾とひっかけて、「ニュートロン・ジャック」という異名を取ったそうである。かっこよすぎる。
当時はアメリカでも普通に見られた終身雇用制を最初に廃止し、他の企業にさきがけていち早くリストラという概念を導入した新自由主義の負の側面を体現するような人物である。

まあそれはそれとして、ウェルチの考え方を簡潔にまとめるとこんな感じだろうか。

・現実を直視する

ウェルチがドラッカーに受けたとされる有名なアドバイスがある。

いまその事業を行っていないと仮定すれば、これからその事業を始める気があるか?          「ウェルチ―リーダーシップ・31の秘訣」 45P

つまり、今後成長を続けてGEを支える事業となる見込みのない事業は、今うまくいっているとかいないとかに関わらず、即刻手を引くべきである。
ナンバー1かナンバー2になれる見込みのある事業だけを行おう。

・スピードを重視する

会社の運営においてスピードは重要で、生産性やキャッシュフローを向上させ、顧客への対応も速くなりシェアの拡大にも繋がる。
優良企業の強みはスピードであり、会社が大きくなるとスピードからコントロールへと重点が移り、官僚主義が蔓延するようになる。
したがって「ディレイヤリング(階層削減)」を行い、不要な中間管理職を排除する必要がある。
そのための手段として、経営者の考え方を末端の作業員にまで浸透させ、極力現場への権限の委譲を行う。

・メモ

こうしてまとめてみると分かるが、エーワン精密の梅原社長はこのやり方をそのまま中小企業に落とし込んで実現している。
つまり事業の選択と集中、そしてスピードを重視した徹底的なシンプル化である。
まあ、言うは易く行うは難し、ではあるのだが、ウェルチがこれを成功させた理由の一つには思い当たる部分があった。
GEはこれまで二十五年間、わたしが身体を使ってする仕事にしか給料を払わなかった。私にも脳ミソはあったのに
「ウェルチ―リーダーシップ・31の秘訣」187P

ある従業員の声として、本書内で紹介されている言葉である。
ウェルチのリストラクチャリングの考え方が決して独りよがりでなかったことの証左であると思う。

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